トータル・リターン・スワップ(TRS)とは債券あるいは資産ポートフォリオのトータル・リターンとLIBOR+スプレッドを交換する契約である。図をみたら分かるが、BはAに対してある資産の総収益を渡し、Aはそれに対して固定されたLIBOR+スプレッドを払うことになる。
そしたら、どうしてこのようなスワップをするだろうか。まず、Aは資産あるいは債券を購入する資金はないがそれを持ちたいと前提しよう。そこで、TRSをすることによって一定のLIBOR+スプレッドを払うだけで、実際に資産あるいは債券を持っている効果を享受できる。このLIBOR+スプレッドは、ある意味では資産あるいは債券を購入するため払う利子のような役割を果たす。
一方、Bの観点から考えてみよう。Bは自ら資金を投入し資産あるいは債券を購入するわけだが、これに対するリターンはLIBOR+スプレッドである。しかし、これだけでBは莫大な資金を投入するわけではない。仮に資産あるいは債券の価値が下落したとすると、TRSではこの損失をAが保障しないといけないことになっている。このため、Bは自分が資産あるいは債券を持っているときより価格変化に対するリスク分散ができるわけである。つまり価格下落のリスクをAに転化し、かつ実際の資産あるいは債券は手元に置くことで、Bは信用リスクを回避することができる。
5月4日、韓国のマスコミはリーマン・ブラザーズ・ソウル支店理事の拘束をいっせいに発した。韓国国内で外資系投資銀行の幹部が拘束されるのは初めてで、モラルハザードの問題で大きな波紋を及ぼしそうだ。
拘束されたのは前リーマン・ブラザーズ・ソウル支店の理事の宋某氏(米国籍)。彼はUCアイコールスの株価を吊り上げようとする勢力と手を組んで、リーマン・ブラザーズ東京支店に同株を購入することを促し、株価を意図的に上昇させた疑いで拘束された。これで、日本円で約1千万円と数回の接待をうけたそうだ。
証券会社のモラルハザード問題は最近日本でもあった。野村證券の社員によるインサイダー取引問題がそれで、きわめて高いモラルを要求する証券業界にとって、このような不祥事は業界全体のイメージに大きな打撃を与えそうだ。今後、同業界における徹底的な倫理教育が必要だと思われる。
クレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swap -CDS-)は最近注目を浴びているクレジット・デリバティブ(信用派生商品)の一つである。その仕組みは一見複雑に見えるけど、簡単に言えば保険と同じ仕組みになっていると言える。
ある会社が特定の社債を持っていて、その社債がデフォルトする恐れがあると判断されたとしよう。そうなると、その会社は社債に対するデフォルト・リスクをヘッジしたく、保険を購入しようとする。この保険がいわゆるCDSである。
CDSの特徴は元本の交換を行わず、リスクだけを切り離して取引することである。これはデリバティブ、すなわち派生商品の特徴でもあるが、派生商品の言葉通り、現物から派生する商品を取引することを意味する。
CDSの仕組みを簡単に説明してみよう。AとBがCDSの取引をしようとしている。Aは特定の社債Zを持っているが、これはデフォルトする恐れがあると判断される。そこで、Aはこのデフォルト・リスクに対する保険を購入したく、このリスクを買い取ろうとする相手を探している。そこでAは「プロテクションの買い手」だと言える。一方、Bは社債Zがデフォルトする確率が低いと判断し、自らそのリスクを買い取ると名乗り出る。もちろん、Bはこのリスクを負うことに対するプレミアムを要求することができ、毎月Aからプレミアムをもらう。通常、Bはリスクを受けるわけなので、「プロテクションの売り手」だと言える。
仮に、デフォルトがなかったとすれば、AはBに対してプレミアムを支給することで契約は済む。逆に、社債のデフォルトがあったとすると、Bはリスクを買ったわけだから、デフォルトした元本を引き受け、社債の元の金額をAに払わなければならない。
これは保険の仕組みとまったく同じである。われわれが自動車保険に加入することは万が一の場合に備えるためだ。それで、毎月一定の金額(プレミアム)を保険会社に払い、事故がなかったら払ったお金に対する返済なしで契約は終わる。一方、事故があったら保険会社は私たちの変わりに修理費や入院代などを払ってくれる。CDSもこの仕組みに似たような商品である。
CDSは元来、リスクのヘッジのため開発されたが、今は投資の対象として注目を浴びている。クレジット・デリバティブ市場の拡大とともに、CDSも今後注目すべき派生商品になると言える。
IR/PS (International Relations and Pacific Studies) はUCSD (University of California, San Diego)の国際大学院で、主に国際的な分野に焦点をあてる大学院コースである。私は修士課程の2年生で、後1ヶ月で卒業することになる。
ここでの生活を振り返ってみると、それほど満足できない気持ちである。日本での大学生活とアメリカのそれとはずいぶん違いがあり、慣れないところで悩んだりしていた。しかも、国際関係学と自分の興味は異なっていることが後から分かったので、学校生活は勉強より休みモードに入ってしまった。特に、国際政治学を始め、IR/PSの多くのコアー科目に興味を持つことができず、何のため大学院まで来たのかと後悔していた。
話が悲観的になりすぎたが、このIR/PSの中でもとても勉強になった科目がいくつかある。まずは牛田英子先生の日本語の授業である。IR/PSの日本語の授業は単なる語学授業ではない。日本語をベースに日本の政治、経営・経済、社会問題などを討論しながら深く勉強している。この授業のためにはかなり高いレベルの日本語が要求されるわけだが、授業を通じて学んだことは実際日本で働くとき役に立つと思う。クラスの学生は毎学期違うテーマを選び、集中的に勉強する。また一つのテーマに絞りながら日本の全般的な事情を勉強し、さらに新しいニュースなどが瞬時引用されるので、日本で働きたい人にとっては必ずとるべき授業だと言える。日本で大学を卒業した私にとっても、今まで知らなかった日本がこの授業を通じてたくさん見えてきた。私はこの授業を語学の授業だとは思わない。日本のことすべてが勉強できる授業だと信じ、IR/PSの他の日本関連科目より優れていると思う。
もう一つの授業はアレックス・ケーン先生の授業である。彼の授業はファイナンス、インベストメント、リスク・マネジメントだったが、今まですべての授業を取った。ケーン先生はファイナンス分野においてとても有名な学者であるが、彼の授業に対する反応は極端に分かれる。要するに、好きな人はものすごいいい評価をし、嫌いな人は先生の顔も見たくないと言っている。先生は独特なくせを持つ方で、授業中に平気で怒鳴りつけたり、遅刻する学生をにらみつけたりする。しかも授業中に学生に対して質問を投げるが、これがなかなか難しく、ちゃんと答えないとバカにされるのである。しかし、私はこの先生の授業を通じて、ファイナンスに関して深く勉強することができ、またくせのある彼の行動が面白いと感じられたのである。
他にもいくつか良いと思われる科目があるが、私が自信をを持ってお勧めできる科目は上記の科目である。2年間を振り返ってIR/PSにきてよく勉強できたと言えたらそれで満足する。