政府系ファンドとは、各国が自国で余っている外貨を運営するため設立したファンドである。1953年クウェートが原油輸出金でs政府系ファンドを作ったのがその始まりである。
外貨保有額は各国にとって非常に大事である。なぜなら、この外貨の不足は国家の倒産につながる恐れがあるからだ。1997年のアジア金融危機の時、韓国はこの外貨保有額が不足したせいで、国際通貨基金(IMF)から資金援助を余儀なくされた。その後、韓国は徐々に外貨保有額を増やしてきている。
外貨保有額がこのように大事であるため、各国は外貨を運営する時、なるべくリスクをとらないよう注意する。リスクをとらない分、収益性は低いままである。結局、莫大な資金プールである外貨をより効率的に運用するべく政府系ファンドは誕生されたのである。
政府系ファンドの公式的な資金規模ははっきりしていないが、モルガン・スタンレーの調査によると、世界30カ国・40余りの政府系ファンドの規模は2兆5000億から2兆9000億ドルに上るそうだ。国別から見ると、UAE8750億ドル、サウジアラビア3000億ドル、クウェート2500億ドルなどである。この金額は非常に高いとしか言えない。世界のプライベートファンドの規模が2兆ドル、ヘッジファンドの規模が1兆4000億ドルであるが、政府系ファンドはこの数値を上回っている。
原油高が続くと見込まれる中、世界から集中されたオイル・マネーを運用すべく政府系ファンドの規模は今後大きくなるに違いない。その中心になるのはアブダビ投資庁(ADIA, Abu Dhabi Investment Authority) であるが、次回は中東の政府系ファンドに関して紹介したいと思う。
トータル・リターン・スワップ(TRS)とは債券あるいは資産ポートフォリオのトータル・リターンとLIBOR+スプレッドを交換する契約である。図をみたら分かるが、BはAに対してある資産の総収益を渡し、Aはそれに対して固定されたLIBOR+スプレッドを払うことになる。
そしたら、どうしてこのようなスワップをするだろうか。まず、Aは資産あるいは債券を購入する資金はないがそれを持ちたいと前提しよう。そこで、TRSをすることによって一定のLIBOR+スプレッドを払うだけで、実際に資産あるいは債券を持っている効果を享受できる。このLIBOR+スプレッドは、ある意味では資産あるいは債券を購入するため払う利子のような役割を果たす。
一方、Bの観点から考えてみよう。Bは自ら資金を投入し資産あるいは債券を購入するわけだが、これに対するリターンはLIBOR+スプレッドである。しかし、これだけでBは莫大な資金を投入するわけではない。仮に資産あるいは債券の価値が下落したとすると、TRSではこの損失をAが保障しないといけないことになっている。このため、Bは自分が資産あるいは債券を持っているときより価格変化に対するリスク分散ができるわけである。つまり価格下落のリスクをAに転化し、かつ実際の資産あるいは債券は手元に置くことで、Bは信用リスクを回避することができる。
5月4日、韓国のマスコミはリーマン・ブラザーズ・ソウル支店理事の拘束をいっせいに発した。韓国国内で外資系投資銀行の幹部が拘束されるのは初めてで、モラルハザードの問題で大きな波紋を及ぼしそうだ。
拘束されたのは前リーマン・ブラザーズ・ソウル支店の理事の宋某氏(米国籍)。彼はUCアイコールスの株価を吊り上げようとする勢力と手を組んで、リーマン・ブラザーズ東京支店に同株を購入することを促し、株価を意図的に上昇させた疑いで拘束された。これで、日本円で約1千万円と数回の接待をうけたそうだ。
証券会社のモラルハザード問題は最近日本でもあった。野村證券の社員によるインサイダー取引問題がそれで、きわめて高いモラルを要求する証券業界にとって、このような不祥事は業界全体のイメージに大きな打撃を与えそうだ。今後、同業界における徹底的な倫理教育が必要だと思われる。
クレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swap -CDS-)は最近注目を浴びているクレジット・デリバティブ(信用派生商品)の一つである。その仕組みは一見複雑に見えるけど、簡単に言えば保険と同じ仕組みになっていると言える。
ある会社が特定の社債を持っていて、その社債がデフォルトする恐れがあると判断されたとしよう。そうなると、その会社は社債に対するデフォルト・リスクをヘッジしたく、保険を購入しようとする。この保険がいわゆるCDSである。
CDSの特徴は元本の交換を行わず、リスクだけを切り離して取引することである。これはデリバティブ、すなわち派生商品の特徴でもあるが、派生商品の言葉通り、現物から派生する商品を取引することを意味する。
CDSの仕組みを簡単に説明してみよう。AとBがCDSの取引をしようとしている。Aは特定の社債Zを持っているが、これはデフォルトする恐れがあると判断される。そこで、Aはこのデフォルト・リスクに対する保険を購入したく、このリスクを買い取ろうとする相手を探している。そこでAは「プロテクションの買い手」だと言える。一方、Bは社債Zがデフォルトする確率が低いと判断し、自らそのリスクを買い取ると名乗り出る。もちろん、Bはこのリスクを負うことに対するプレミアムを要求することができ、毎月Aからプレミアムをもらう。通常、Bはリスクを受けるわけなので、「プロテクションの売り手」だと言える。
仮に、デフォルトがなかったとすれば、AはBに対してプレミアムを支給することで契約は済む。逆に、社債のデフォルトがあったとすると、Bはリスクを買ったわけだから、デフォルトした元本を引き受け、社債の元の金額をAに払わなければならない。
これは保険の仕組みとまったく同じである。われわれが自動車保険に加入することは万が一の場合に備えるためだ。それで、毎月一定の金額(プレミアム)を保険会社に払い、事故がなかったら払ったお金に対する返済なしで契約は終わる。一方、事故があったら保険会社は私たちの変わりに修理費や入院代などを払ってくれる。CDSもこの仕組みに似たような商品である。
CDSは元来、リスクのヘッジのため開発されたが、今は投資の対象として注目を浴びている。クレジット・デリバティブ市場の拡大とともに、CDSも今後注目すべき派生商品になると言える。
IR/PS (International Relations and Pacific Studies) はUCSD (University of California, San Diego)の国際大学院で、主に国際的な分野に焦点をあてる大学院コースである。私は修士課程の2年生で、後1ヶ月で卒業することになる。
ここでの生活を振り返ってみると、それほど満足できない気持ちである。日本での大学生活とアメリカのそれとはずいぶん違いがあり、慣れないところで悩んだりしていた。しかも、国際関係学と自分の興味は異なっていることが後から分かったので、学校生活は勉強より休みモードに入ってしまった。特に、国際政治学を始め、IR/PSの多くのコアー科目に興味を持つことができず、何のため大学院まで来たのかと後悔していた。
話が悲観的になりすぎたが、このIR/PSの中でもとても勉強になった科目がいくつかある。まずは牛田英子先生の日本語の授業である。IR/PSの日本語の授業は単なる語学授業ではない。日本語をベースに日本の政治、経営・経済、社会問題などを討論しながら深く勉強している。この授業のためにはかなり高いレベルの日本語が要求されるわけだが、授業を通じて学んだことは実際日本で働くとき役に立つと思う。クラスの学生は毎学期違うテーマを選び、集中的に勉強する。また一つのテーマに絞りながら日本の全般的な事情を勉強し、さらに新しいニュースなどが瞬時引用されるので、日本で働きたい人にとっては必ずとるべき授業だと言える。日本で大学を卒業した私にとっても、今まで知らなかった日本がこの授業を通じてたくさん見えてきた。私はこの授業を語学の授業だとは思わない。日本のことすべてが勉強できる授業だと信じ、IR/PSの他の日本関連科目より優れていると思う。
もう一つの授業はアレックス・ケーン先生の授業である。彼の授業はファイナンス、インベストメント、リスク・マネジメントだったが、今まですべての授業を取った。ケーン先生はファイナンス分野においてとても有名な学者であるが、彼の授業に対する反応は極端に分かれる。要するに、好きな人はものすごいいい評価をし、嫌いな人は先生の顔も見たくないと言っている。先生は独特なくせを持つ方で、授業中に平気で怒鳴りつけたり、遅刻する学生をにらみつけたりする。しかも授業中に学生に対して質問を投げるが、これがなかなか難しく、ちゃんと答えないとバカにされるのである。しかし、私はこの先生の授業を通じて、ファイナンスに関して深く勉強することができ、またくせのある彼の行動が面白いと感じられたのである。
他にもいくつか良いと思われる科目があるが、私が自信をを持ってお勧めできる科目は上記の科目である。2年間を振り返ってIR/PSにきてよく勉強できたと言えたらそれで満足する。
日本式経営とは何か。この質問を問いかけると、我々はどう答えるべきだろうか。確かに、この質問に対して多くの人は三種の神器などの皮相的な答えをするだろう。しかし、日本的経営という、他と区別される根本的な原因を問われると、答えることは至難の業になる。それは、日本人自らが自分の源流を考えることが難しいからであろう。だから、日本では外国人からみる、いわゆる日本人論が人気を集めてきた。本書はそのような日本人論とは一味違う書籍である。
日本の経営は、1990年頃を境に世間の評価が大きく変わった。日本の経営システムは、80年代までは全世界から注目を浴び、多くの企業のロールモデルになった。しかし、90年代のバブル崩壊後、その奇跡のモデルは不況の元凶になってしまった。著者のジェームス・C・アベグレン氏は日本経営の代名詞である三種の神器の生みの親とも言えるが、本書を通じて、このような被虐的な雰囲気に警鐘を鳴らしている。
著書のタイトルは日本の経営だが、この本は決して経営のみの本ではない。企業の文化や数理的な財務分析はさて置いても、日本の社会問題であるフリーター問題や大学教育問題まで、日本社会のあらゆる分野を深く調査し、一冊の本にまとめた。その全ての問題は日本人、日本文化で繋がっている。
今までの日本経営に関する本は、殆どが日本の悪い面に焦点をあて、失われた10年の原因として取り上げてきた。中には、時代の流れに乗って書かれた凡作が殆どで、要は、最先端の米国経営システムを取り入れるべきだと主張している。それで、既存の日本型システムを守る企業は時代遅れであり、大量の解雇やハゲタカによる企業買収、そして昔のシステムを否定することが相応しい日本企業の未来だと言わんばかりにしている。このような時代の流れに、本書は、米国人の観点から-もちろん日本国籍を取得し、日本人の立場から本書を執筆されたが-日本人に日本経営の素晴らしさを訴えている。筆者の日本に対する愛情は本書の隅々から感じられる。時には現状を不安げに見て叱責し、また時には称賛を惜しまない。書中で一貫して主張することは日本人の素晴らしさ、そして日本経営の偉大さである。これは日本人に対する愛情なくては書かれないものであろう。
ただ、本書はあくまでも欧米とヨーロッパとの比較が大きな軸になっており、日本文化の原点ともいえるアジアとの関係が比較的に少ない。もちろん所々に中国やアジアを関連付けながら意見を述べているし、また本書の大きな目的の一つは日本経営を欧米のシステムと対比することなので、アジアの文化との関連性を求めることは少々無理な話かもしれない。日本経営とアジア文化の関連性に関しては別の形で研究していただきたいが、残念ながら筆者は故人になったため、これは別の学者に期待したい。
本書は日本の経営や企業だけでなく、その背景にある日本社会の全てを説明している。だから、経営学を専攻する人でなくても、日本に関心を持っている人なら誰でも興味を持って読めるはずだ。本書を熟読したら、日本経営とは何かという質問に答えられると信じる。そして、現代の日本社会を理解するのに最もいいということで、本書は読む価値のあると自信を持って言えよう。
「新・日本の経営」、ジェームス・C・アベグレン、2004年12月10日、日本経済新聞社
私は韓国のソウル出身で、日本が大好きな人です。
日韓関係を見るといろいろややこしい問題が山積みしていますが、実際日本に住んでみて感じたことはそれ程深刻なものではありませんでした。人間はどこの国でも同じだという信念をもとに、私の周りの人たちを大切にしていくことで、国境を越える付き合いができると思います。そして、国粋主義なんか政治家によって作られたものだと信じます。
私は韓国で軍隊の経験を持ち、日本の京都大学で経済学を専攻しました。また、京都府庁の環日本海アカデミック・フォーラムという研究機関で研究員として勤めました。その他、「第42回外国人による日本語弁論大会」に出場し、日韓関係をテーマにしたスピーチをして文部大臣賞と会場審査委員賞を受賞しました。今はカリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego-UCSD-)の国際大学院(IR/PS)で国際経営を専攻しています。IR/PSとはInternational Relations and Pacific Studiesの略語で、国際関係を中心に、国際政治、国際経済、国際経営などを研究する大学院です。名前から見ても分かりますが、この大学院は環太平洋の国々に特化していて他の国際大学院とは違う道を歩んできました。
一昨年、私はボストン・キャリア・フォーラムというジョブ・フェアに行って、いろいろな投資銀行のブースで面接をしました。いくつかの所からオファーをもらいましたが、最終的にはモルガンスタンレーを選びました。それで去年の夏にモルガン・スタンレーの債券総括本部で10週間のサマー・インターンをし、そのまま内定をもらいました。卒業してからは同じ会社で仕事をすることになっています。今後、債券総括本部のストラクチャード・クレジット・デスクで仕事をする予定ですが、これは最近注目を浴びているクレジット・デリバティブ関連の仕事です。
今、大学院の日本語の授業でブログを作ることになりましたが、自分が興味のあるクレジット・デリバティブや債券に関する情報をこのブログにアップしたいと思います。日本語の授業で作ったからといって、卒業するとブログを廃止したりすることはありません。このブログは授業のためではなく、あくまでも自分のためです。自分が興味のある分野を日本語でまとめることは自分にとって実に意味のある作業でしょう。また母国である韓国の経済事情を書くことによって、韓国に関心のある人々のために一役買いたいと思います。
「我、事において後悔せず」は宮本武蔵の言った言葉です。人生を振り返り、後悔の残らない人生だったと言えることが私の目標です。間違ったところや疑問点がありましたらいつでも教えてください。どうぞ宜しくお願いいたします。