トータル・リターン・スワップ (TRS)
トータル・リターン・スワップ(TRS)とは債券あるいは資産ポートフォリオのトータル・リターンとLIBOR+スプレッドを交換する契約である。図をみたら分かるが、BはAに対してある資産の総収益を渡し、Aはそれに対して固定されたLIBOR+スプレッドを払うことになる。
そしたら、どうしてこのようなスワップをするだろうか。まず、Aは資産あるいは債券を購入する資金はないがそれを持ちたいと前提しよう。そこで、TRSをすることによって一定のLIBOR+スプレッドを払うだけで、実際に資産あるいは債券を持っている効果を享受できる。このLIBOR+スプレッドは、ある意味では資産あるいは債券を購入するため払う利子のような役割を果たす。
一方、Bの観点から考えてみよう。Bは自ら資金を投入し資産あるいは債券を購入するわけだが、これに対するリターンはLIBOR+スプレッドである。しかし、これだけでBは莫大な資金を投入するわけではない。仮に資産あるいは債券の価値が下落したとすると、TRSではこの損失をAが保障しないといけないことになっている。このため、Bは自分が資産あるいは債券を持っているときより価格変化に対するリスク分散ができるわけである。つまり価格下落のリスクをAに転化し、かつ実際の資産あるいは債券は手元に置くことで、Bは信用リスクを回避することができる。
Comments
特定のイベントに対して保険の役割を果たすCDSと違って、TRSは株価そのものに対する保険の役割を果たしているのでしょうか。
スプレッドがどのように設定されるのか非常に興味がありますね。お互いに株価の予測が一致していなければ、「鞘取り」の機会が生まれてくるような気がするのですが。
わかりやすい説明でした。私は、この分野の内容にはまったく関係のない人生を送ってきたので、なぜこんな複雑なことをあえてするのか疑問に思いました。この制度は「契約」とありますが、それは「お互い様」のような契約なのでしょうか。つまり、利益を得るときも損をするときもお互い様で、昔日本にあった五人組のような制度でしょうか。また、この制度はどのような会社で行われている取引か教えていただけませんか。